キックスターターで支援したダマスカス鋼ナイフ「グレートシャーピー」を紹介します。
グレートシャーピー概要
ダマスカス鋼について
ダマスカス鋼は、古代インドで作られた鋼材です。インドは古くから製鋼が優秀で、紀元前より優れた鋼を生産していました。特に現存する「デリーの柱:Delhi’s Iron Pillar」が1600年以上たった現代でも錆びていないことから、この柱に使われたダマスカス鋼は非常に優れた鉄鋼材として有名です。
ダマスカス鋼は、正式にはウーツ鋼と呼ばれ、その強靭さ、錆びにくさ、表面に浮かぶ優美な波紋から神秘性をもち、また本来の製法は現代に伝えられておらず、いまだ謎に包まれています。
したがって現代におけるダマスカス鋼は異なる製法によって作られたものです。
近世ではダマスカス鋼は刃物用材として珍重され、切れ味の鋭さから十字軍の時代には王家の家宝として伝えられ、ステイタスの象徴として名声を得ていました。
ダマスカス鋼の製法を研究する中で現代のステンレス鋼が発見されていることから私たち現代人にとってもダマスカス鋼は重要な意味を持つ鋼材です。
本来のダマスカス鋼は、溶解させた鋳鉄を坩堝(るつぼ)の中でゆっくり凝固する際に、内部結晶作用により融点の違う鋼が別々に結晶化することにより美しい模様が発生した鍛鉄です。
現代のダマスカス鋼は一般的に鋼と鍛鉄などの異種金属を鍛練し人工的に模様を生み出した材料の総称として知られています。
この模様は特に炭素濃度や、鋼材の硬度の違いから発生するもので、模様の出し方にも様々な方法があります。
特に異種金属を鍛練する中で、金属組織が均一化され不純物が減少することにより、非常に精度の高い刀身が出来ることから、現代でも刃物用材料としては粉末冶金法にならび最高峰とされています。
因みに、私が初めてダマスカス鋼というものを知ったのは、昔ビジネスジャンプという漫画雑誌に連載されていた「銃夢」という漫画に描かれていたからです。
その銃夢の中で、主人公の少女が愛用していた切れ味抜群の大型ナイフがダマスカスブレードだったのです。
当然、グレートシャーピーのプロジェクトを見たとき
おおダマスカスブレードだ
と思ったものです。
形状
グレートシャーピーは折り畳みナイフで、刃を開いた状態での全長が20cm、ハンドル部分が11cm、刃の長さが9cm、刃体の厚みが0.4cm、刃幅が2.5cmと公表されています
これらの形状について、届いたリワードを実測してみたところ以下のとおりでした。
若干の誤差はありますが、ほぼ公表値通りと言っていい寸法でした。
ただ、プロジェクト段階の画像と実物を見比べると、実物の方が全体的に造りが細い感じに仕上がっています。
特に刃の形がプロジェクト段階の試作品の方は、刃の先端直近まで刃幅が広く作られていますが、実物はかなり付け根に近い部分から刃が細い造りになっています。
私としては試作品通りのほうが好みですね。
特徴
ダマスカスブレード
最初でも説明しましたが、グレートシャーピーの刃はダマスカスブレードとなっており、これが最大の特徴です。
ただし、これも最初に説明したとおり、本物のダマスカス鋼を作る技術は失われているので、グレートシャーピーのダマスカスブレードも古(いにしえ)の物とは違うということになります。
プロジェクトの説明ですと、17種類の鋼材を何度もプレスしてダマスカス模様を作り出しているとのことです。
材質についての説明はされていませんが、手入れを怠ると錆がつくので、ステンレスではなくカーボンスチール系の鋼材が使われていると思われます。
ウォールナットのハンドル
グレートシャーピーのハンドルは、ウォールナット(クルミの木)で作られています。
黒味がかった色合いからするとブラックウォールナットだと思われ、落ち着いた光沢があり、手触りもよく、とても手になじむ感じがあります。
この取っ手なかなかいい感じで、愛着が沸きます。
サムスタッド
刃の付け根付近にサムスタッドと呼ばれる突起状の金属部品が取り付けられています。
このサムスタッドは、刃を片手で開閉するための部品です。
アウトドアにおいて、左手で何かを握っている場合に腰のシースからナイフを右手で取り出しそのまま開閉することができます。
グレートシャーピーの気に入ってるところ
所有欲を満たしてくれる
レプリカとは言え刃に浮かぶ美しいダマスカス模様、ウォールナットのハンドルの渋い色と手になじむ触り心地は、まさに所有欲を満たしてくれるナイフです。
キックスターターにおいて、このグレートシャーピーのプロジェクトを支援した人は私を含めて309人でした。
また、インディゴーゴーという別のクラウドファンディングでもアップされていましたが、こちらの支援者は24人でした。
さらに、このクリエイターは現在活動しておらず、グレートシャーピーも販売等されていないようなので、世界に333本しかないと思われまs。
そうすると、なかなか希少価値もあるような気がして、さらに所有欲が満たされます。
多分自己満足だと思いますが。
持ち手が手になじむ
上にも書きましたが、ウォールナットは手触りがよく、手になじむ感じが心地いです。
何度も触っていると色合いも奥深いこい茶色に変化してそこもまたいい。
サムスタッドにより片手で刃の開閉ができる
サムスタッドの使用には多少慣れが必要ですが、慣れてくるとナイフを片手で開いたり閉じたりすること自体が楽しくなってきます。
グレートシャーピーのサムスタッドは取り外し不可ですが、サムスタッドは後から取り付けるものもあるので、サムスタッドがない折り畳み式のフォールディングナイフに取り付けてもいいですね。
造りがシンプルで手入れがしやすい
上の画像は分解した状態ですが、金属の刃体取り付け部を両側からウォールナット持ち手で挟みこみ4本のボルトで固定してあるだけのシンプルな構造になっています。
グレートシャーピーの気になる点
切れ味が悪い
届いたばかりのグレートシャーピーの切れ味はお世辞にもいいとは言えませんでした。
キックスターターでのデモ動画では抜群の切れ味を発揮しているように見えましたが、はっきり言って名前負けの感じが否めませんでした。
私は切れ味についてかなり期待していたので、がっかりして、クリエイターに
とてもグレートシャーピーとは言えませんね
とメッセージを送ってしまったくらいです。
クリエイターからは何の反応もありませんでした。
その後気を取り直して砥石で磨いだり、シャープナーを使ってみたりして、現在ではその名に恥じぬ切れ味を発揮できるようになりました。
錆びやすい
上の画像はグレートシャーピーではなく、単なるサンプル画像で、ここまでひどい錆が出たわけではありません。
使った後、油を塗らずに保管していたところ、数か所に点状の小さな錆が出ていた程度です。
それ以降、使った後はオリーブオイルを薄く塗布して錆止めにしています。
プレッジについて
グレートシャーピーのクリエイターはイギリスに所在していたので、プレッジの通貨はポンドでした。
プレッジの額は50£(ポンド)、当時の日本円にすると訳7300円でした。
また、送料は20£だったので、合計で当時1万円ちょっとかかったことになります。
日本における折り畳み式ナイフの携帯について
日本ではいわゆる銃刀法によって銃器や刃物が規制されています。
折り畳み式ナイフの場合、銃刀法22条に次の要件が一つでも欠けた場合規制の対象となると規定されています。
刃体の長さ 8センチメートル以下
刃体の幅 1.5センチメートルを超えないもの
刃体の厚み 0.25センチメートルを超えないもの
形状 刃体を固定させる装置を有していないもの
ではグレートシャーピーはどうかというと、全部欠けています。
もう完全に規制の対象です。
ではグレートシャーピーは持ち歩けないのか、携帯できないのかというとそんなことはありませ
ん。
ただし、この点も銃刀法で規定されていて、
「何人も、 業務 その他 正当な理由 による場合を除い
ては、これを 携帯 してはならない」
となっています。
つまり、仕事で持ち歩くとか、そのほか常識的に納得できる正当な理由があれば携帯してもよいと
いうことです。
もちろん、護身用とか気に入っているからとかいうのは理由になりません。
じゃあ、どんな理由ならいいのかというとそれは常識の範囲で判断するしかありません。
おまわりさんに所持品検査されたとき、規制対象のナイフをなぜ持っているのか説明して、それが
その時の状況等と考えあわせて正当な理由だと認められるかどうかです。
まとめ
グレートシャーピーは、個性的で神秘的なデザインをもつ、愛着の沸く小型ナイフです。
いろいろと微調整してようやくグレートシャーピーの名に恥じぬナイフになりましたが、それがより愛着の沸く結果になっています。
人に勧められるような出来ではありませんでしたが、私個人としては愛用しています。
このクリエイターには初代グレートシャーピーを改善して、第二第三のグレートシャーピーを生み出してほしかったのですが、残念なところクリエイターチームは消滅してしまったようです。
現在はインスタグラム、ツイッター、フェイスブックは生きていますが更新はされていませんし、ホームページはもはやありません。
いつの日か復活してくれると嬉しいのですが。
https://twitter.com/Thegreatsharpy
https://www.instagram.com/thegreatsharpy/
https://www.facebook.com/TheGreatSharpy/?fref=ts
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