【防災の新常識】ペットボトルがロープに変わる。財布に入るカード型ツール「Cordage Card」徹底解説

緑色のペットボトルと、それを紐状に加工するGrim Workshop製の金属製カッター。カード型やドッグタグ型の様々なツールと、実際に作られたプラスチック製の紐。 Kickstarter
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2020年8月15日に受け取り

1. いつものカバンに忍ばせる「0次の備え」とは?

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こんにちはenagaです。
災害は、いつ、どこで私たちの日常を襲うかわかりません。近年、外出先で被災し、帰宅困難になったり、避難所へ移動したりするまでの「数時間から1日」を乗り切るための「0次の備え」という考え方が重要視されています。これは、自宅の備蓄(2次)や非常用持ち出し袋(1次)とは異なり、普段使うバッグに常に入れておく最低限のアイテムを指します。例えば、情報収集や連絡に不可欠なモバイルバッテリー、暗闇で役立つ小型ライト、衛生を保つ携帯トイレや除菌シート、少量の現金や常備薬などが挙げられます。これらをコンパクトなポーチなどにまとめておけば、通勤・通学カバンにも無理なく収まります。いつどこで被災しても自分と大切な人を守るための、いわば現代の“お守り”と言えるでしょう。

そこで役立つツールの一つが、今回紹介するGrim Workshop社の「Cordage Card:コーデージカード
」(通称:ボトルロープメーカー)
。どこにでもあるペットボトルを、様々な用途に使えるロープへと変換する画期的なカード型ツールです。(他にもタグタイプとキーホルダータイプあり)財布に収まるほど小型なこの一枚が、あなたのいざと言うときの「備え」のレベルを上げることができると思います。

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2. Grim Workshop「ボトルロープメーカー」の機能と使い方

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一見すると模様が刻まれた金属製カードですが、その設計には緊急時やアウトドアで役立つ実用的な機能が凝縮されています。
カードタイプ以外にもタグタイプ、キーホルダータイプの2種類があります。
機能は同じですが、やはり小型のものより大型になるほど使いやすいです。

2.1. 製品スペック:カード1枚に凝縮された機能

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  1. 素材: 高品質なステンレススチール製。錆びにくく、過酷な環境下での使用にも耐えうる耐久性を誇ります。
  2. サイズ: クレジットカードとほぼ同じ(約8.5cm × 5.4cm)。カード部分の厚みは1mm、中央のカッター部分は約5mmです。クレジットカードと完全に重ねることはできませんが、財布や小物入れには問題なく収納できます。
  3. 機能: 本体の特殊なカッターに、底を切り落としたペットボトルを差し込んで引くことで、ボトルが螺旋状に切れ、一本のプラスチック製ロープ(コーデージ)に変わります。出来上がるロープの幅は約5mmです。
  4. 注意点: このツール単体では完結しません。最初にペットボトルの底を切り落とすためのカッターナイフやハサミが別途必要となります。
    刃物の話by警視庁

2.2. 簡単3ステップ!ロープの作り方と注意点

このツールの使い方は非常にシンプルで、直感的に扱えるよう設計されています。

  1. 準備:  空のペットボトルの底を、カッターナイフなどで切り落とします。切り口をなるべく平らにするのが、きれいなロープを作るコツです。
    自宅で使用するときは包丁など比較的大きな刃物で切り落とした方が簡単ですし、奇麗なロープが創れます。災害時には小さいナイフで頑張るしかないですね。
    今回私が使ったのはセルビアンナイフ(別名アルマザンキッチンナイフ)という大型のナイフです。キャンプ以外で外に持ち出すと犯罪になってしまう恐れもある大型ナイフです。私は自宅やキャンプで料理するとき毎回使っているだけで要もないのに持ち歩いたりはしません。

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  1. セット:  ツールのカッター部分に、ペットボトルの切り口を差し込みます。ロープの幅は上にも書いたとおり約5mm程度です。

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  1. 引く:   ペットボトルをゆっくりと回転させながら、一定の力で引き抜いていきます。すると、螺旋状にカットされたプラスチックロープが生成されます。
    元がプラスチックなので螺旋状のバネのような形状が記憶されていてその状態では持ち運びに嵩張る感じです。何かに巻きつけたり、小袋に入れたりした方がいいでしょう。   

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一度慣れてしまえば決行簡単に創れますし、電源や複雑な組み立ては一切不要。このシンプルさは、緊急時にこそ真価を発揮しますね。

3. 作れるロープの強度と長さの目安【重要】

このツールで生成できるロープの性能を正しく理解することは、安全な利用のために不可欠です。

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3.1. ペットボトルロープの実力は?気になる強度を検証

製造元であるGrim Workshopの公式情報によれば、2Lのペットボトルから生成した単線のロープは、静的荷重で100ポンド(約45kg)以上の重量に耐えうるとされています。これは、あくまで一つの目安であり、ボトルの材質や厚み、生成するロープの幅によって変動しますが、この数値が示すのは、防災やアウトドアシーンで想定される多くの用途(例:荷物の結束、シェルターの固定)において、十分すぎるほどの強度を有しているという事実です。実際私の力では1本のペットボトルロープですら引きちぎることはできませんでした。
また、長さについては500mlのペットボトル1本から約9メートルできました。2Lのボトルであれば20メートルほどの長大なロープを生成することも可能です

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3.2.三つ編みによる強度の飛躍的向上

出来たロープは単線でも十分な強度を誇りますが、より高い負荷が想定される場合は、強度を飛躍的に高める簡単な方法があります。それは、生成したロープを「三つ編み」にすることです。
この一手間を加えることで、ロープの強度は単純計算で3倍近くなり、大人の男性がぶら下がることさえ可能なほど強化させることができます。

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  1. 準備 : 同じ長さのペットボトルロープを3本用意します。
  2. 結束 : 3本の端を一つにまとめ、固く結びます。
  3. 編込 : 「右のロープを中央へ」「左のロープを中央へ」という動作を、均等な力で繰り返します。
  4. 仕上げ: 最後まで編み込んだら、再び端を固く結び、完成です。緊急時においても、この知識があるかないかで、対応できる状況の幅が大きく変わってくることでしょう。

3.3.他のロープとの客観的比較

項目♻️ ペットボトル
ロープ
🪢 パラコード (550タイプ)🌿 麻縄📦 ビニール紐
絶対強度 (単線)中 (約45kg以上)高 (約250kg)
耐水性◎ (極めて高い)○ (吸水するが劣化しにくい)× (吸水し腐食しやすい)○ (高い)
耐候性◎ (紫外線に強い)○ (紫外線により徐々に劣化)× (紫外線や湿気で劣化)△ (紫外線で劣化しやすい)
携帯性◎ (ツールのみ携帯)△ (ロープ自体がかさばる)△ (かさばる・重い)○ (比較的小型)
緊急時の入手性◎ (素材が普遍的に存在)× (専門店での購入が基本)△ (ホームセンター等)△ (コンビニ・店舗等)
生成コスト◎ (実質ゼロ)△ (比較的高価)○ (安価)○ (安価)

この比較表が示す通り、絶対的な強度においては、軍事規格のパラコードにはおよびません。しかし、他の全ての項目、特に「携帯性」「緊急時の入手性」「コスト」という、サバイバル状況下で極めて重要となる要素において、ペットボトルロープは高い優位性を誇ります。災害発生時、都合よくパラコードが手元にあるとは限りません。しかし、ペットボトルは、被災地の瓦礫の中にすら見出すことができる、最もありふれた「資源」ですからね。

4. 【シーン別】ボトルロープメーカー活用アイデア集

このツールの価値は、緊急時だけでなく、アウトドアから日常生活まで幅広いシーンで発揮されます。

4.1. 防災・サバイバル・アウトドア:もしもの時の結束材として

災害時、ロープや紐は物資の固定や運搬、避難所の環境改善など多岐にわたって必要となります。身の回りにあるペットボトルから必要な分だけロープを自給できることは、大きな安心に繋がります。
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1. 荷物の固定・運搬  : 避難時に持ちきれない荷物をリュックに固定したり、複数の荷物を一つにまとめたりする際に役立ちます。

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2. 避難所での活用   : ダンボールや毛布でプライベート空間を確保するための間仕切り設営に重宝します。

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  1. 簡易シェルターの設営: ブルーシートとロープ、木などを組み合わせ、雨風をしのぐ簡易シェルターを作れます。

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  1. 応急処置      : 骨折した際の添え木を固定するなど、応急手当の補助としても利用できます。

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  1. テント・タープ設営 : 予備のガイロープとして、またはランタンや小物を吊るすラインとして活用できます。

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  1. 装備の修理 : 靴紐が切れたり、バックパックのストラップが破損したりした際の応急処置に使えます。

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「ないものは作る」というサバイバルの基本を実践できるツールですね。

4.2. 日常生活:節約とエコを両立する便利アイテム

このツールは、普段の暮らしの中でもその価値を発揮します。

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  1. 園芸・農業   : トマトやバラなどの植物を支柱に固定する紐として使えます。紫外線や雨に強く、屋外での使用に適しています。
  2. ゴミの結束   : 段ボールや古新聞、剪定した枝などを束ねるのに便利です。ビニール紐を購入する必要がなくなります。
  3. アップサイクルの実践: 廃棄されるペットボトルに新たな価値を与える「アップサイクル」を簡単に体験できます。これはゴミを減らし、資源を有効活用する、持続可能な社会に貢献するアクションです。

5. メリットとデメリット

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どんな便利なツールでもメリットとデメリットがあります。このロープメーカーも例外ではありません。

■ 主なメリット:
究極の携帯性 : ツール本体が極めて小型軽量であり、日常的な携帯が全く苦になりません。
無限の素材供給 : 素材であるペットボトルは世界中どこにでも存在し、文字通り尽きることがありません。
優れた環境耐性: 原料のPET(ポリエチレンテレフタレート)は、水分を吸収せず、紫外線による劣化にも比較的強いため、屋外での長期使用に適しています。
環境負荷の低減: 廃棄されるはずのゴミを有効活用する行為は、サステナビリティの観点からも非常に有意義です。

■ 留意すべきデメリット:
生成の手間と時間: 緊急時に「作る」という一手間が必要であり、即時性には欠けます。
絶対強度の限界: 人命救助におけるメインロープや、クライミングのような極端な負荷がかかる用途には適していません。あくまで補助的なロープと認識すべきです。
耐熱性の低さ: 高熱に弱く、火気の近くでは変形・溶解する危険性があるため、使用場所には注意が必要です。
結びの確実性: 表面が滑らかであるため、結び目が緩みやすい特性があります。「もやい結び」や「巻き結び」など、解けにくい結び方の知識を併せて習得しておくことが強く推奨されます。

6. まとめ:一枚のカードが「備え」の意識を変える

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Grim Workshop社の「Cordage Card」は、単なる便利な道具という枠を超え、私たちの「備え」に対する考え方を豊かにしてくれます。

  1. 緊急時には、その場で資源を確保し、困難を乗り越えるための助けとなる。
  2. アウトドアでは、創造力を刺激し、活動の幅を広げる相棒となる。
  3. 日常では、節約とエコを両立させる実用的なツールとなる。

クレジットカードサイズのこの一枚は、ゴミを価値ある資源に変え、消費社会の中で「作る」という選択肢を私たちに与えてくれます。いつ起こるかわからない災害への備えは、日々の生活の中で無理なく続けることが重要です。財布にこのカードを一枚入れておくこと。それは、未来の自分と大切な人を守るための、スマートで実用的な「0次の備え」の新しいカタチです。

7. 参考・出典

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